フリーランスになって多くの人が面倒に思ったり、また開業したばかりの人が不安に思うのが、毎年行われる確定申告なのではないでしょうか?
今年の3月、確定申告に苦労したみなさん、今年度の帳簿には手をつけていますか?
苦労する人の共通点としては、こまめに帳簿をつけていない人。つまり1年分の領収書をかき集めて、3月にまとめて帳簿に記入しているからです。もやは、それ以外の理由はないのではないかと思います。
私は会計の専門家でも、会社で経理部にいたわけでもないですが、こまめに帳簿をつけていますので、開業してから今まで確定申告に苦労はしたことはありません。
そんなフリーランスの私が、日々どうやって帳簿をつけているのかやり方をまとめました。
用意するといいもの
私は青色申告をしていますので、それに必要な帳簿をつける前提で話を進めます。
用意した方がいいものは以下
- 会計ソフト
- 事業専用口座
- 事業専用クレジットカード
- ファイル(領収書を入れるもの)
順番に説明していきます。
会計ソフト
会計ソフトはフリーランスなら使っていない人はいないんじゃないかというくらい、無くてはならない存在ですね。今年開業したばかりで、まだ持っていないという方は用意しておきましょう。
クラウドの会計ソフトが主流であり、有名どころはこの3つ。この中からどれか選べばよいかと思います。
freeeは簿記の知識が無い人でも使える初心者向き、マネーフォワードや弥生は少し知識がある人に向いているのかなと思います。
最初はお試しで無料で使えます。基本となる機能はどれもそんなに変わらないので、それぞれ使ってみて操作感が気に入ったもの選ぶのがいいでしょう。
また、身近にフリーランス仲間や先輩がいる方は、その人が使っているソフトと同じにすると使い方で困ったときに聞きやすいので、選ぶポイントにしてもいいですね。
ちなみに私はマネーフォワードクラウドを選択しました。
事業用口座・クレジットカード
会社と違って、フリーランスは事業のお金とプライベートのお金が混在しやすくなります。
帳簿に記載する際に、事業とプライベートで使ったお金が混ざっていると分かりにくいですし、計上ミスの原因にもなるので、口座とクレジットカードはプライベート用とはきちんと分けておくことをおすすめします。
新しく作ってもいいですし、使っていない口座やクレジットカードがあればそれをあててもいいですね。
ただ、定期的に事業口座からプライベートの口座に生活費を移すことになるので、同じ銀行で口座を分けることを強くオススメします。銀行を分けるとお金の移動が面倒になったり、手数料がかかりますので。
領収書用のファイル
なんでもいいので、領収書を保管するファイルを用意しておくといいです。ポケット式のファイルでもいいですし、スクラップブックみたいなものに貼って保管する方もいますね。
私は確定申告書と決算書の控えと一緒に保管しているので、写真のようにA4サイズのポケット式のファイルを使い、1年ごとにまとめて入れています。
現金は使わない
帳簿を楽につける方法として、現金はなるべく使わないのがポイントです。
クレジットカードと違って、現金は使った履歴が残りにくいです。それに、手元にある現金が事業用の現金なのか、個人用のものなのか混在しやすくなります。
また、現金の取引は帳簿に手打ちしないといけないので、なるべくクレジットカードで支払いをした方が後々楽になります。
ちなみに私は帳簿上の現金は0にしており、基本的に事業用クレジットカードでしか支払いをしません。飲み会や勉強会など、どうしても現金で支払わなければいけない場合があったときは個人用の現金で支払い、帳簿は事業主借で処理をするようにしました。
毎週末にやること:経費を計上する
私が日々やっている、帳簿のつけ方をご紹介していきます。
週末に会計ソフトを開くようにしましょう。平日に働き、土日休みの一般的な働き方の場合なので、ご自身の働き方に合わせて1週間の区切りとしてちょうどいい所なら、週末でなくでも大丈夫です。
本来は帳簿は毎日つけるものなのですが、飲食店や小売店などと違って、フリーランスは毎日お金の動きがあるものではないので、1週間に1回やれば十分かなと思います。
経費もほとんど使わない、月末に売り上げを計上するレベルという方なら、1ヶ月に1回でもいいかもしれませんが、これが最低限の回数ですね。1ヶ月以上帳簿を開かないとかは、絶対にやめましょう。
1週間で使った経費を計上する
帳簿を開いたら、この1週間で使った経費を仕訳帳に記載していきます。
クレジットカードで支払ったものは、会計ソフトとカードを連携しておけば自動で取引が取り込まれるので、未仕訳になっているデータを登録。
現金で支払ったものは、領収書を元に手入力していきます。
交通費は1ヶ月分をまとめて帳簿に計上してもいいとされていますので、電車などはSuicaの利用履歴を元に、スプレッドシートに交通費精算書を作成して集計。
私はそこまで経費を使わないですし、移動も週1〜2日くらいなので、ここまで10分くらいあれば終わります。多くても30分もあれば終わる作業かなと思うので、隙間時間でできますね。
残高試算表で資産と負債を確認する
全ての入力作業が終わったら、残高試算表の貸借対照表を開きます。資産と負債の合計が見れますので、それぞれを以下の2つを確認。
普通預金
期末残高の金額と、実際の口座残高にズレがないか確認します。口座残高は最近はスマホのアプリで確認できますね。
未払金
クレジットカードの利用金額(未払金)と実際のカードの利用明細にズレがないかを確認します。こちらもスマホのアプリやネット上で簡単に確認できますね。
もし、この2つに1円でもズレがある場合は帳簿が間違っていますので、原因を突き止めて修正します。こうやってこまめに確認することで誤りに早く気づくことができ、年度末に金額が合わなくて、頭を抱えることもなくなりますよ。
これを毎週繰り返します。
毎月末にやること:売上と入金を計上する
毎週末に経費の計上をやっていけば、月末には1ヶ月分の経費が全て帳簿に記載されていることになります。ここに月末(もしくは月初)で請求書を出したタイミングで、売上を計上して、1ヶ月分の帳簿が完成です。
私は月末締めで毎月1日に請求書を作って送ることが多いので、そのタイミングでやっています。
1ヶ月の売上を計上する
請求書を発行したら、作った請求書を元に売上を計上します。
クラウドの会計ソフトには請求書作成機能もついていますので、ここで作れば帳簿との連携も簡単にでき、便利ですね。
入金確認をし計上する
月末に前月に請求した金額の入金がありますので、こちらも計上します。
会計ソフトと銀行口座を連携させておけば、こちらも自動でデータを取得できますので、登録ボタンを押すだけです。
交通費を計上する
毎週末にスプレッドシートで作成しておいた交通費精算書から交通費の合計金額を計算し、仕訳帳に記載します。
残高試算表で資産を確認する
売上と入金を計上できたら、週の処理時と同様に残高試算表を開きます。月末で確認するのは以下2つ。
普通預金
こちらは週の処理時と同じです。期末残高の金額と、実際の口座残高にズレがないか確認します。
売掛金
今月入金された売掛金がなくなり、今月請求したものは売掛金が増えていること、金額に誤りがないことを確認します。
補助項目に会社名を入れて、どの会社にいくらの売掛金があるかひと目でわかるようになっています。
なくなるはずの売掛金が残っている場合は、入金金額が違ったり予定していた入金がされていない可能性があるので、きちんと確認しましょう。
領収書をファイリングする
1ヶ月分の帳簿の記載が終わったら、領収書をファイリングして終了です。保管方法に決まりはないのでご自身の好きな方法を見つけてみてください。
参考までに私の方法をご紹介します。
当月の領収書は、PCのモニターの下にクリップで日付順に並べてとめて置いています。箱とかに入れて保管してしまうと放置してしまうので、あえて目につくようにこんなところに置いてます。
1ヶ月分の帳簿の記載が終わったタイミングで、1ヶ月分をホチキスでとめて、ファイルのポケットに入れておしまい。私はそんなに領収書が多くないので、この方法でやっています。
これを12ヶ月繰り返します。
年度末にやること:決算整理
毎月この処理を繰り返せば、年が開けて1月の頭には帳簿には全ての経費と売上が記載されていることになりますね。こまめにやっていけば、1回あたりの作業時間は数十分程度ですので大変じゃないかと思います。
最後に決算整理をして、帳簿を締めたら、確定申告に必要な決算書が完成です。あとは保険や税金関係の必要な書類などが揃えば1日で確定申告書は作れますから、2月中の提出も余裕でしょう。
家事按分
フリーランスで自宅で作業をしている方は、家賃や光熱費、通信費などは実際支払った金額の何割かを経費として計上することになりますね。
家事按分の機能を使えば、事前に登録した割合で計算して、必要な分だけ経費として帳簿に入れてくれますので、年度末に仕訳登録します。
経営者なら帳簿の確認が大事
以上が私が日々やっていることです。こまめにやっていれば、帳簿は大変なものではありません。これで次回の確定申告は苦労しないでしょう。
また、こまめに帳簿を確認することは、事業のお金の流れや資産状況を把握するためにもとても大事なことです。3月にまとめて1年分を帳簿につけているようでは、事業の会計を把握できていないことになり、個人事業とはいえ経営者としては、まずい状況だと思います。
フリーランスも個人事業の経営者です。きちんとこまめに帳簿をつけて、事業の会計を把握しておきましょう。
ここまで出てきた言葉がよくわかないという場合は、簿記の勉強をすることをオススメします。必要な知識ですので、日商3級くらいの知識は身につけておくといいですよ。
私は開業する前にこの本で勉強しました。